西丹沢伊勢沢ノ頭 令和元年登り納めとアマチュア無線デビュー!

2019年12月31日 日程:日帰り 人数:単独 形態:周回 交通手段:自家用車  

令和元年の登り納めとSOTAでアマ無線デビュー

年内最後の登山とアマ無線デビューをしようと思い、SOTAリストに載っている西丹沢の伊勢沢ノ頭に行くことにした。

SOTA(Summits On The Air)とは、アマチュア無線、およびSWLのアワードプログラムで、アマチュア無線局が山岳移動を行うことによって得点をゲットしたり、山岳移動している局と交信をして得点をゲットして、アワードを得る世界的なプログラム(SOTA公式ページより)で、アマチュア無線のSOTAも免許さえあれば誰でも参加できるそうだ。

無線機を買ってアマチュア無線局を開局してから3ヶ月経つが、まだ1度も電波を出したことがなく、自宅近くで電波をワッチしても聞こえてくるのはほとんど顔見知り同士と思われるおしゃべりのいわゆるラグチューというフランクな会話か、休日を中心に行われているコンテストの淀みなく流れるようなCQばかりで、初心者が出せる普通のCQのヒントになるようなやり取りは一向に聞こえてずとても電波を出せる気にならずに過ごしてきた。

そこで、この年末年始の休みを利用し近くて静かでSOTAリストにも載っている伊勢沢ノ頭に登って今年の登り納めとアマ無線の年内デビューができればと思い向かった。

寄大橋の駐車スペースから出発!

伊勢沢ノ頭は、玄倉林道から境隧道上を経て寄に下る、あるいは秦野峠から雨山峠を経て鍋割山に登る際に通る交通の要衝ではあるけれどこれは静かな丹沢の山歩きを好む人にとってであって、一般的にはあまり馴染みのないとても静かな山域だ。

ここへのアプローチは、前述したように玄倉からユーシンに向かって玄倉林道を進み境隧道を抜けてすぐ左手のガードレールをまたいで玄倉川に面した斜面をトラバースし境隧道の上を越えて登るという方法が一番手っ取り早いかも知れないが、玄倉まで入ると帰りが遅くなりそうなので寄大橋のたもとにある駐車スペースに車を停め、秦野峠に向かう林道の途中から作業道を使って直登することにした。

赤い寄大橋

赤い寄大橋

国道246号線を下り、渋沢から松田に向かう途中の寄入り口で右折し山道を登り寄の集落を抜け稲郷を過ぎて急に狭くなった林道を走って行くと見えてくる場違いなほど大きな赤い寄大橋を渡りたもとの駐車スペースに車を停めて出発する。

 

林道から伊勢沢ノ頭

駐車スペースのすぐ横にある車両通行止めの林道ゲートはゲートの支柱の隙間にもワイヤーが張られ、自転車も通行止めと書かれた看板が立っていたが、そういえば以前日影山から林道秦野峠に抜けた時秦野峠には大勢のサイクリストがいたが今はもうそんな光景は見られないのだろうか?それとも前から自転車通行止めで今でも秦野峠にはサイクリストたちが集っているのだろうか?落石に当たったり路上に転がっている落石で転倒する危険があるというのはわかるが、通行止めにすることもないと思うのだがどうなのだろう?丹沢近辺の林道は通行禁止が多いように思う。

林道のゲート横を通り抜け舗装道路を歩くこと約30分、予定では吉備人出版の西丹沢詳細図にある”伊勢沢ノ頭東尾根ルート”というのを登るつもりでいたが、林道歩きに飽きてしまい少し早いとは思ったが中の沢を超えたところで見つけた登り易そうな作業道から入山した。

ここから山に入ります

今日はここから山に入ります

この詳細図は丹沢にある無数の作業道の一部に名前を付け、その径路に〇〇向きといったグレーディングをしているがその違いが自分には今ひとつわからない、、、この地図が発売された時には西丹沢が込み合うようになってしまったらとか遭難が増えるのではとか思いもしたが、そうでもないのかな?

登りやすく踏み固められた作業用の径路を登っているとどこからともなく甘酸っぱい柑橘系の香りが鼻をするぐる、きっと近くでミツマタが春の準備を始めているのだろう。

ひと所にとどまって無線を運用するのに備えいつもより暖かい防寒装備を準備するつもりが、前日の天気予報でいつになく暖かい大晦日になるというので普段この辺りを歩くいつも通りの装備でやって来たが、それでも樹林帯を歩いているとソフトシェルを脱いで手袋を外してもじわじわと汗がにじむほど暖かかった。

ひと登りして樹林帯を抜けると目の前に明るい自然林が開け、傾斜が緩んだ先に秦野峠から雨山峠に抜ける雨山山稜の一般登山道の道標が見え、間もなく伊勢沢ノ頭に到着した。

伊勢沢ノ頭

伊勢沢ノ頭

樹木に囲まれて見通しのきかないところに伊勢沢ノ頭の山名板があってあまり山頂らしくは無いが、少し脇に足を運ぶとそこからは手前に遮るもののない雄大な富士山が見えた。

令和元年最後の富士山

令和元年最後の富士山

富士山を眺めながら初めての無線運用をするのはとても魅力的だが、こちら側は風が強く温暖な日とは言えとても寒かったので富士山を見ながらの運用は断念し尾根に遮られて風が届かず午前中の日が燦燦と降り注ぐ相模湾を見下ろす東側の斜面に陣取ることにした。

暖かい陽だまりに座席を確保

暖かい陽だまりに座席を確保

初めての無線交信

40年以上前に無線従事者免許(従免)を取ってから1度も電波を出したことが無く、今日が初めての交信。

無線局の免許(局免)を取ってからしばらくは他の人の交信を聞いて慣れたらCQに応答するところから始め、自分からCQを出すのはそれからにした方が良いらしいが、自宅付近で144MHzや430MHzをスキャンしても入ってくるのはすでに知り合いになっている人同士のやりとりかコンテスト中のCQばかりでほとんど普通の?CQを聞く機会がなかったので、たまたま登るすがら耳に入って来たベテランらしい人の送信手順を真似してみることにする。

レジャーマットの上に銀マットを敷き腰を据え、144MHzと430MHzのどちらで出そうかと思い双方をスキャンして空いていそうな430MHzで出ることにする。

前述のベテランさんを真似て取った手順が下記の通り。

1)まずはしばらくワッチして空いていそうな周波数を見つけ、「チャンネルチェック、チャンネルチェック、こちらどなたか使っていますか?」と呼び掛けてからスケルチを開いてしばらく反応が無いか確認し、反応が無ければ少し時間を空けてこれを3~4回繰り返してとりあえずこの周波数が空いていることを確認。

2)430MHz帯の呼び出し周波数(メインチャンネル)に移動してコールサインを名乗り、チェックしておいた周波数(サブチャンネル)に移動することを告げる。「こちらJJ1ULN、JJ1ULN、〇〇〇に移動します」

3)サブチャンネルに戻り、「CQCQCQこちらはJJ1ULN/1丹沢伊勢沢ノ頭でSOTA運用中、入感局ありませんか?受信します」と呼び掛けてからスケルチを開いてしばらく反応を窺い、反応が無ければこれを繰り返す。

上記の手順を頭に描き、マイクのPTTスイッチを押すまでがドキドキものだった。

3)で2コールし終えるとすぐ、手に持っていたスピーカーマイクから返答が聞こえるが、自分から呼びかけておきながら返答があったことが少し信じられず???となりながら応答すると、こちらのコールサインを復唱する声が返って来て紛れもなくこちらのCQに対しての返答だと分かった時には感無量だった。

次回交信したときに思い出せるように会話の中の要点をメモに取りながら夢中で会話をしたが、会話の前後に相手のコールサインを呼び掛けてから自分のコールサインを名乗り上げるというのに慣れず、メモ帳がめくれメモした相手のコールサインを探すのに手間取ったり、自分のコールサインさえ噛んでしまったり天手古舞の初運用だった。

空は静かでも聞いている人はいるもので、ほぼ途切れることなくSOTA既定の1座4交信が終えると不慣れな私の要領の悪さもあり1人1人の方との交信が思いのほか長く昼を遥かに過ぎてしまい、大晦日の夕食に間に合わせるため後ろ髪をひかれる思いで撤収。

今回交信していただいた4局はどちらも神奈川県西部だったが、見通し距離とはいえハンディ機の純正ホイップアンテナで30㎞以上離れたところから59のレポートをいただけたのには驚いた。

出力はさておき、アンテナとケーブル次第でハンディ機でも驚くほど飛ぶことがあるという話を今回交信いただいた局から聞き、もともとは登山時のリスクヘッジと思って取った局免だが山岳運用に興味が湧いてきた。

雨山山稜を楽しみ、雨山峠から下山

家族そろって大晦日の夕食を過ごすために19:00までには帰ると伝えて出てきたので、予測しにくい年末の交通状況を考えると16:00には寄大橋に停めた車に着きたいところ、少し迷ったがこのまま来た道を戻っても早すぎるし秦野峠を経由してもまだ早く、しかも退屈な林道歩きが待っているので当初もっと早い時刻に出る予定で計画していた雨山山稜から雨山峠に下るルートに進むことにした。

丹沢を歩き始めたころによく来たこの辺りは、静かで起伏が少ない穏やかな山並みで歩いているだけで心が癒され、足元に気を遣わずに歩けるので、山の空気に包まれながらいろいろとおも思いに耽ったりするのにうってつけのエリアだ。

静かで穏やかな雨山山稜

静かで穏やかな雨山山稜

雨山に差し掛かると、相模湾が見下ろせる斜面の際にシートを敷いて寛いでいる人が居たので挨拶をして通り過ぎる。今日の山行中初めて会う人で、結果的に今日山の中で会ったただ唯一の人だった。レジャーマットを敷いてコンロを出し、厚手のダウンを着て完全に寛いでいるところからすると、このまま夜明かしして相模湾から昇る初日の出を楽しむ予定なのかもしれない、、、だとしたらうらやましい。

左手に見える檜洞丸の上に、その上だけにぽっかりと雲が乗って山頂に影を落としていた、ちょっとご無沙汰しているから近々あそこにも行っておかないと、と思った。

檜洞丸の上に乗っかる雲!

檜洞丸の上に乗っかる雲!

いままでの穏やかな広い尾根から急な階段を下ると階段に組み込まれた新しい丸木がやたらと滑り、気をつけて足を乗せてもツルっと滑るので気を遣う。

急降下を下り痩せ尾根を越えると雨山峠のベンチが見えてきた。さっきまでよく見えていた富士山には雲がかかり雨山峠からは望むことができなかった。

雨山峠のベンチが見えてきた

雨山峠のベンチが見えてきた

雨山峠はいつ来ても静かでしっとりした良い雰囲気を漂わせている

雨山峠はいつ来ても静かでしっとりした良い雰囲気を漂わせている

雨山峠から下る寄沢は相変わらず脆くザレていて、昨秋の台風の影響か左岸が大きく崩落していたが、新しく鎖が架け替えられたりしていて行き届いた保全がされていた。

寄沢が開けると、左岸に大崩落が見えその先繰り返す渡渉箇所の川幅が広いところにかかっている真新しい丸木橋、、、さっきのツルツルの階段を思い出し恐る恐る乗ったが、この橋は滑ることなく無事通過できた。

ゲゲッ滑りそうな丸木橋!

ゲゲッ滑りそうな丸木橋現る!

無事通過、ホッ!

無事通過、ホッ!

山道が終わって林道に出ても林道が崩落して山中に迂回する径路が作られているなど、昨年の台風19号の残した爪痕はこの辺りにも深く残っていた。

林道に崩落

林道に崩落

この先は林道が陥没

この先は林道が陥没

水源林管理棟が見えてくると間もなく林道が終了、予定通り16時前に寄大橋の車に到着して令和元年最後の山行を終えた。

 

コース情報

寄大橋8:00~10:26伊勢沢ノ頭12:37~13:00檜岳~13:32雨山~13:58雨山峠~14:41釜場ノ平~15:47寄大橋

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