槍ヶ岳
2019年8月1日ー3日 2泊3日 メンバー8名 交通手段:自家用車、タクシー
アプローチ:7月31日夜沢渡駐車場(700円/日)に駐車して仮眠、翌朝上高地までタクシー(4,600円)に乗車
天候:1日目 晴天 2日目 晴れのち雨 3日目 晴天 (3日間とも風少なく気温高し)
1日目 上高地から槍沢キャンプ場
前代未聞?静かな上高地
7月31日の夜に横浜を車で出た私たちは沢渡の駐車場で仮眠してから翌朝タクシーで上高地入り。記録的な梅雨明けの遅さに加え、新型コロナウィルス感染拡大も影響してか、バスターミナルは人がまばらでとても8月の上高地とは思えない風景だ。
出発直前まではっきりしていなかった梅雨が明けたようで、上高地の空は真っ青に晴れ渡っている。
空いているバスターミナルで荷物の整理をしたり水を補充したり、ゆっくりと準備を整えて出発する。
上高地から横尾山荘
今回は昨年の滝谷ドームのように、1日目に北穂高小屋まで一気に登るわけではなくベースキャンプを張る槍沢キャンプ場まで行けばいいので気が楽。
いつもこの辺にたむろっているサルたちの姿が見えないのは、エサをくれそうな人がいないからなのだろうか?
バスターミナルには人影が少なかったが、河童橋辺りまでくるとリゾートに訪れ散策を楽しむ人の姿がそこそこあり皆マスクをしていて、人通りを見守っている係員から、テン泊の人も小屋や売店に入る時にはマスクをしてくださいと声を掛けられた。
河童橋下を流れる梓川はいつになく流れが早く濁っていて、水量も多く川幅一杯に水が満ちてとても河原遊びを楽しめそうにはないがきっとこれも梅雨の間降り続いた雨のせいなのだろう。
上高地から横尾山荘までの間、色々な蝶がやってきてはザックの上で羽根を休みていた。
その中でもひときわ目を引くきれいな蝶がいて写真を撮っていると、仲間の一人がこれは海を越えて長距離を渡って移動するアサギマダラという蝶だと教えてくれた。
また、徳澤園のベンチで休んでいると横に咲いたアザミの花のうえに鮮やかな模様の大きな蝶がいるので写真を撮っていると、近くにいた若いグループの中の女性が、その蝶はミヤマカラスアゲハの雄だと教えてくれたのでその詳しさに驚いていると、この蝶の写真を撮って蝶に詳しい友人に送ったら教えてくれたとのことで、重ねて驚いた。
徳澤園のソフトクリームに魅かれたが、これは帰りの楽しみに取っておくことにして水分と軽く行動食を補給するにとどめ横尾山荘に向かう。
横尾山荘から槍沢ロッヂ
私はまだ槍ヶ岳に登ったことがないので、横尾山荘から槍沢に向かうのは初めてだ。
涸沢に向かい横尾のつり橋を渡ると道幅が狭く山道らしくなり本谷の橋を渡ると更に急登交じりの山道になるが、横尾山荘を過ぎても槍沢の道はさして急にならず、沢沿いの森に挟まれた穏やかな道が続いていた。
途中に山の間から奇跡的に槍ヶ岳が見える槍見河原から、山と山に挟まれた空を見上げたがガスがかかっていて槍沢ロッヂのテン場の上に見える岩山がちょこっと見えるだけだった。
槍沢沿いの道はその後も歩き易い緩やかな径路がしばらく続いて少し急な登りになったかと思うと槍沢ロッヂに到着し、私たちは慌ててマスクを取り出し、今夜のビールを買いにロッヂに入った。
備え付けられていたビールの自動販売機では、スーパードライの500㎖缶が700円で売られていたがすべて売り切れになっていて、その隣に同じスーパードライの500㎖缶が「賞味期限切れ5月」と書かれて500円で売られていたので、そちらを買ってザックに入れた。
テン場を使う手続きをしている間ぶらぶらしていると槍ヶ岳が見えると書かれた望遠鏡が三脚に据えられていてのぞいたが、見えたと思ったらすぐにガスの向こうに隠れてしまった。
さて、ロッヂでビールを買ってすっかり着いた気になっていた私にとってここから先が今日の核心になってしまい、まだかまだかと思いながら登ったテン場までの40分が長かったこと。
ロッヂから離れていても水場と清潔なトイレ完備の快適なテン場だが、今日はガラガラだけれど普段のシーズンは混雑しているとか、そういえば山と高原地図では30張と書かれていたけれど、、、その半分以下なんてこの時期にしてはめったにないんだろうなあ。
2日目 槍ヶ岳
テン場~槍ヶ岳山荘
2日目の予定は小槍から孫槍と曾孫槍を登攀して槍ヶ岳に登りテン場に戻る予定、メンバーの1人が以前槍から下るときに登ってきた人たちがみな顔面蒼白で苦しそうに歩いていたという話を聞き、私にしては珍しくビールを飲み終えた後は持参したバーボンをキャップに一杯飲んだだけで早々に寝てしまう。
2日目朝は2時に起床し、3時15分には支度を済ませて出発したがここで問題が発生。
昨夜使用した後懐に忍ばせていたヘッデンが起床してから使おうとしたら点灯しない、電池は前日交換したばかりで昨夜までは問題なく使えていたのに、、、それに加えてなんとテントの中でハイドレのパイプが外れて水漏れ。急いで漏れた水をふき取りながら支度をし、ヘッデンの代わりに予備に持ってきたミニマグライトを持ち事なきを得た。
テン場から槍ヶ岳に向かう道は思いのほか歩き易く手にライトを持っていても問題なく、出発して1時間半ほど経つと足元が見える程度には明るくなり、5時前にはモルゲンロートに稜線が赤く染まってきた。やがて槍ヶ岳が目の前に姿を現し、振り返ると遠くの空に浮かび上がる富士山と南アルプスが見えた。
槍ヶ岳山荘に到着し、山荘前のベンチでクライミング装備を身につけて準備をし、小槍登攀に向かった。
小槍基部から再び槍ヶ岳山荘に戻って槍ヶ岳を見上げると、山頂と小屋の間にヒコーキ雲で描かれた大きなクロス!
今回は残念だったけど、またおいでと言われているようだった。
3日目 帰還
昨日小槍登攀を終え、一昨日の晩の反動で下山途中の殺生ヒュッテでビールを3本買いテン場に着くなり1本飲み、食事中に2本空けてからバーボンの残りと誰かが持ってきた焼酎をいただきながら大いに飲んだおかげで、最終夜は熟睡して目が覚めた時には昨日の疲れは消えていた。
昨日夜明け前に出発して涼しいうちに槍ヶ岳山荘に到着したせいか、登るときに私は全く疲れを感じなかったが、下山時にすれ違う人たちはカンカン照りの中グロッキー状態の人が多く目についた、やはり登り始めは早朝に限る!
私も例年午後の炎天下の下北穂南稜を登っているが、今年は涸沢にベースを置いて朝南稜を登ることにしたがだいぶ楽なんじゃないかと思う。
疲れがすっかり抜けて予定より2時間も早く起きてしまったと寛いでいたらとんだ勘違いで、定刻の起床だったと知り少し慌てる。
5時半過ぎにテン場を発ち、槍沢ロッヂの少し下までの急坂を下るとあとは足場が安定した歩き易い道をのんびりと下って行くだけ。
行きに決めた通り徳澤園でソフトクリームを食べ、のんびり歩いて11時前には上高地バスターミナルに到着。
沢渡の蕎麦屋さんの前にある露天風呂付きの立ち寄り湯(700円)で汗を流し、向かいの蕎麦屋で昼食を摂って帰宅。
横浜までの帰り道は至って順調で、恒例の小仏トンネル渋滞にも遭わなかった。
今回歩いたコース
コースタイム
1日目 上高地バスターミナル8:20-8:44明神館8:50-9:40徳澤園―10:42横尾山荘-12:36槍沢ロッヂ12:52―13:28テン場
2日目 テン場3:16-3:44大曲―6:52槍ヶ岳山荘12:46―13:10殺生ヒュッテ13:23―15:02大曲―15:28テン場
3日目 テン場5:37-6:04槍沢ロッヂ-7:38横尾山荘7:48-8:45徳澤園9:03-10:45上高地バスターミナル