菰釣山~シキリ尾根~地蔵平~地蔵尾根~城ヶ尾峠(北丹沢・西丹沢)

2019年9月1日 日程:日帰り 人数:単独 形態:周回 交通手段:自家用車 アプローチ:道の駅どうしに駐車 

久しぶりにヤブ歩きがしたくなったので、8月上旬に痛風発作を起こしてから朝のジョギングを中断したままで体力の衰えが気になっていたこともあり、そのリハビリと昨年買ってからあまり履いていないゴローの革登山靴の慣らしを兼ねて道志側から菰釣山に登り、シキリ尾根を使って地蔵平に降りてから地蔵尾根を城ヶ尾峠に登り返すことにした。

出発は道の駅どうしから

菰釣山へのアプローチは林道のゲート近くまで車で入れば「道の駅どうし」から歩くよりも1時間近く短縮できるが、半年ぶりに訪れる道志の里の雰囲気を林道を歩いてしっかりと味わいたいと思い道の駅に車を停めて出発することにした。

普段より1時間ほど遅く家を出発したせいもあり、いつもより交通量が多い道志みち(国道413号線)にはバイクの姿が目立ち、おにぎりを買いに立ち寄ったコンビニの広い駐車場のスペースは7割がたバイクで占められていた。

道の駅どうしの24時間出入りできる手前のスペースに車を停めて支度を済ませ出発する。

奥の駐車スペースが閉まっている時刻で、まだ停まっている自動車は少なかったが、バイクの駐輪スペースにはたくさんのバイクが停まって休憩していた、これから富士五湖にでもツーリングに行くのだろうか?

西沢林道

道の駅を出て民家の裏を通る畑越しの富士山ビューポイントから向こうを窺うが、空にはガスがかかり今日は富士山を見ることができなかった。

今日は富士山の姿を窺うことはできなかった

今日は道志から富士山の姿を窺うことはできなかった

三ヶ瀬(さがせ)川を渡ってキャンプ場の間を抜けて西沢林道に入り、道志の森キャンプ場のサイトの横を通り抜けると、タープの下でまったりと寛いでいる人や朝ごはんの準備をしている家族の姿が見え、朝からバーベキューコンロに火を入れて肉を焼いている人も少なくなく、いい匂いを嗅ぎながら歩いていると腹が空いてきた。

キャンプ場の敷地を抜けると、朝餉の香りに代わって土と木の香りが漂ってくる。

この辺り一帯は横浜市の水源となっているので水源管理の作業車が入って来るためなのだろう、未舗装でも路面が整備されところどころ車が楽に行き交える広さがある立派な林道で、水が勢いよく噴き出している水場にはいつからかプラスチックのコップが常備されていて、そこを過ぎるとやがて車止めの鎖が張ってあり一般車両はこれ以上進めないが、手前に駐車できそうなスペースが何箇所かあるのでここまで車で入って来る登山者も多い。

小川沿いの林道

緑豊かな林道歩きは心洗われる

水量豊富な水場

水量豊富な水場

林道の洗い越えを越えるとその先にも立ち入り禁止と書かれた鎖が張ってあるが、菰釣山への登山口はこの先にあるので、もちろん歩行者は鎖をまたいで入って行ける。

初めて菰釣山に来たときにはこの立ち入り禁止を真に受け、菰釣山登山口と書かれた道標の後ろの山に登りかけてしまい途中で気づき戻って来たが、その数年後試しに道標の裏の山から登ってみたらブナの丸の辺りに出て菰釣山に登ることができたので、マイルートとして記録した。

道標に従って鎖をまたいで行くとすぐ右手にコンクリートの擁壁が現れる、数年前にできたこのコンクリートの壁には道標裏から登る尾根にショートカットできそうな階段があり、間違って登るおっちょこちょいや承知の上登る不届き者への対抗措置なのか、階段の登り口にトラロープが張ってあるけれど好奇心満々の不届き者には効果がなさそうだ。

侵入者除け?のトラロープ

侵入者除け?のトラロープ

コンクリートの擁壁を過ぎ左に分かれ水晶橋の方に向かう林道から別れて直進するとブナ沢から甲相国境尾根へと向かう登山道になる。

林道から登山道への入り口

林道から登山道への入り口

ブナ沢から菰釣山

林道からブナ沢沿いの登山道に入ると一気に山道らしくなり、苔むした石や倒木の間を歩き沢の流れを右に左に渡っていると水を飲みに来たクマと出くわしたりやしないか気になり、ウエストポーチからラジオを取り出してスイッチをオン!「(一瞬人の声がして)・・・・・」!?、、、やってしまった、電池切れだ!

ブナ沢

クマが水を飲みに来そうな雰囲気のブナ沢

出がけに試した時には鳴ったのにもう残り少なかったらしい、、、ヘッデンと懐中電灯も同じ型の電池を使っているので予備はあるがザックを開けるの面倒でクマ鈴も雨蓋の中、、、仕方がないので手拍子を打ちながら歩く、どうせ誰もいないし、、、と思い手を叩きながら涸れ沢を登っていたら上から人の声がしたので慌てて手を止めた。(もうクマの心配もなさそうだし)

涸れ沢の稜線近くでカエル発見!

涸れ沢の稜線近くでカエル発見!

楽しく話しながら歩いている先行者の男女に追いつくのも気が引けたので、あちらの声が聞き取れないくらいの間隔を保ってゆっくり登っていくと、ちょうど菰釣避難小屋で休憩を取ろうとしているところを挨拶をして追い越した。

静かなたたずまいの菰釣避難小屋

静かなたたずまいの菰釣避難小屋

避難小屋を過ぎてしばらくすると菰釣山の山頂から降りて来る単独の男性とすれ違ったが、今回の山行中に会ったのはこの3人だけだった。(やはりこの時期の道志の山は静かだ)

今日も静かな菰釣山の山頂

今日も静かな菰釣山の山頂

人っ子一人いない山頂からは丹沢山系随一と言われる富士山の姿は見えず、さっそく三角点確認に向かった。

ジオグラフィカのお気に入り機能、、、磁方位取得!

菰釣山の山東三角点は山頂ではなく頂上から約200ⅿ南に下がった大栂寄りにあり、もちろん三角点の場所が来るたびに変わることはないのだが、毎回現物を目視するのが習慣になっている。

愛用しているGPSアプリのジオグラフィカには磁方位を取得する機能があり、予めマーキングをしておいた場所をタップすると、現在地点からの磁方位とその場所の高度や直線距離が表示されるようになっている。

表示された磁方位の値をコンパスに設定すればスマホをポケットに戻してもどちらへ進めばいいかわかるし、高度計と併用すればコンパスが示した磁方位に向かって表示された標高になるまで歩けば目的地にほぼピンポイントで着くことができるので、汗かきの私でもスマホに滴る汗を気にしながら画面とにらめっこしないで済む!

すでに何度も来て場所がわかっているけれど、面白さもありついこの方法を試したくなって、今回もまた試してみた。

磁方位を取得し

磁方位を取得し

コンパスを合わせ

コンパスを合わせ

目的地にピンポイントで到着

目的地にピンポイントで到着!

三角点確認を終え山頂に戻りベンチで一休みしてから地蔵平を目指してシキリ尾根を下った。

菰釣山から地蔵平へ下り城ヶ尾峠に登り返す

シキリ尾根で地蔵平へ

以前来た時の記憶を頼りにシキリ尾根に入ろうと菰釣山山頂から避難小屋の方へ少し戻ると、木の幹に巻きつけられたピンクのテープ(こんな目立つ印が以前からあったかな?)が目に飛び込んで来た先に明瞭な踏み跡があった。

4年ぶりくらいにやって来たシキリ尾根には予想外に明瞭な踏み跡があったが、径路のフカフカした歩き心地はやはり登山道と一線を画するヤブ歩きの醍醐味か、行く手を塞ぐ苔むした巨大な倒木やキノコが目を楽しませてくれ、心底来てよかったと思った。

行く手に横たわる苔むした巨大な倒木

行く手に横たわる苔むした巨大な倒木

自然林の中を歩く白いキノコ

予めジオグラフィカにセットしたマーカーから取得した磁方位をコンパスのリングで合わせながら下って行ったつもりが、あまりに踏み跡が明瞭なので油断していつの間にかマーカーを飛ばしてしまい、気が付くと屈曲点を通り過ぎ別の踏み跡を追っていて150ⅿ以上下ってから慌てて登り返す場面も1度あったが、それ以外は特に急な傾斜や危険個所もなくおおむね順調に尾根を下り、林道へと降り立った。

尾根道から林道へと降り立つ

尾根道から林道へと降り立つ

尾根道から合流した林道は路面のほとんどが草で覆われ、あるいは真ん中が水流で削られ、自然に還りつつあって、そんな中にぽつんと立つカーブミラーがやけにシュールに見えた。

降り立った林道は自然に還りつつあった

降り立った林道は自然に還りつつあった

かつて道路だったところは真ん中が水に削られ水路になっている

かつて道路だったところは真ん中が水に削られ水路になっている

このミラーが自動車を映す日はもう来ない

このミラーが自動車の姿を映す日はもう来ない

この自然に還りつつある「忍橋林道」を下ること20分強で富士見林道と合流するとやっと林道らしく車が入って来れる道になり、更に30分歩き富士見橋を渡ると地蔵平に到着。

地蔵堂でお賽銭を献上して手を合わせ、昼食を摂った。

地蔵堂

大切にされ、いつもきれいに保たれている地蔵堂

明るく開けた地蔵平の広場で昼食を摂った

明るく開けた地蔵平の広場で昼食を摂った

地蔵平から城ヶ尾峠へ

地蔵平で手早く昼食を済ませると城ヶ尾峠に向けて出発する。

地蔵尾根への渡渉箇所はエアリアと西丹沢詳細図いずれも富士見橋と堰堤の間に径路が引かれているが、いつも探してはみるがその辺りに渡渉しやすそうなところを見つけることができず毎度堰堤上の水が浅くなっているところを歩いて渡っているが、もっと良いところがあるのだろうか?

渡渉箇所

いつも堰堤の上を渡って尾根に向かっているが、、、

ここの堰堤上は水の流れが少なくて渡りやすい

ここの堰堤上は大抵水の流れが少なくて渡りやすい

初めてここに来たときには、渡渉してからいきなり尾根を直登してかなりの急登に苦労したが、尾根にぶつかってから左方向に進んで尾根のしっぽに向かった先に現れる径路を辿っていくと余計な苦労をしないで楽に尾根に上がることができる。

地蔵平から信玄平までコースタイム1:40の上り坂、さして急でもないし長時間登り続けるわけでもないがどうもこの区間を歩いていると気が重くなり、やたらと疲れてしまうので苦手なのだが、その原因は城ヶ尾峠手前の崩壊地の通過が不安だからかもしれない。

崩壊地の通過といってもほんの短い区間で、念のため安全確保のロープを持ってきているし以前より崩壊が進んで通れそうもなければ、崩壊地から少し戻って以前歩いたことのある城ヶ尾山への直登ルートを行けばいいだけなので大した問題ではないのだが、私は先が見通せないことが人一倍苦手なのかも知れない。

気が重くても歩かないと先へ進まないし、歩けば確実に目的地に近づく。いったん山の中に入り込んでしまったら行くも戻るも自分の足を動かさなければいけないのがハイキング、、、当たり前か。

なだらかに登っている広い尾根、その昔武田信玄が北条攻めをする際に引き連れた軍勢共々野営したと言われるだけの広さは充分にありそうな尾根を登りながら、まだかまだかと登っていくと古い道標の残骸が立っている信玄平に到着した。

そこには城ヶ尾峠から信玄平を経て大滝峠に向かう道が東海自然歩道から外されすでに廃道になっている旨が掛かれている告知板が地面に立てかけてある。

ここが廃道になっていることを知らせる告知板

ここが廃道になっていることを知らせる告知板

信玄平から先はこれまでのダラダラ坂から一転して道幅が狭く傾斜も急になり、心機一転私も気だるい気分が抜けて元気が出てきた。

すると、尾根を左に巻く従来の径路とは別に尾根の真ん中を直登する新しい踏み跡があったので迷わず直登し、急傾斜を木の根っこや枝を掴りながら登るとやがて傾斜が緩み再び元の道と合流したが、巻き道を行くよりもこちらの方が歩き甲斐があって快適だった。

新しい踏み跡を追って尾根を直登する

新しい踏み跡を追って尾根を巻かずに直登する

巻き道と合流して甲相国境尾根の下にぶつかると城ヶ尾山の山頂に直登する斜面があり、西丹沢詳細図ではここに✖印がついていて山頂への直登不可となっているようだが、以前来た時に直登したところ、急登と激ヤブの洗礼を受けながらも崩壊地を通過するよりは安全に一般登山道に上がれた。

今回の目的には崩壊地の崩壊具合を確認することも含まれているので、そのまま右にトラバースして進むと最初の崩壊地が現れた。

前回来た時にあった芯が露出したボロボロのロープは跡形もなく、ほんの短い区間だが径路の途中が崩壊して切れ落ちている。崩壊箇所は砂地で体重をかけるとそのまま谷に持って行かれそうだが、何か所か露出している岩の上を歩けば通過できそうだ。

露出している岩は砂岩で下手に体重をかけるとボロッと欠けるし、岩に見えても砂地に埋まっている大きめの石が顔を出しているだけのものもあるので、そっと足を乗せてじりじり体重移動をしてから見当をつけていた手掛かりに一気に体重を移して目の前の径路に乗り換えたところで体が止まってしまった。

最初は頭の上にある木の枝にザックが引っかかっているのかと思ったが、よく見ると跡形もなくなったかと思ったお助けロープの芯だけが数本残っていてそれがザックのコードに絡まっていたので、木の枝につかまりながらもう一方の腕を伸ばし後ろ手でなんとか絡まっていた芯を外したが、不安定な足場で踏ん張っていた右足の腿がパンパンに張ってしまい、これが後々思わぬ災難を招くことになった。

城ヶ尾峠下の難所はこの崩壊地と傾いた桟道の2か所で、以前来た時は桟道の方が手強いと思ったが、頼りないとはいえお助けロープが無くなった崩壊地の通過には予想外に手間取り、写真を撮る余裕も無かった。

それに比べると傾いた桟道は前回来た時より一層傾きが増してはいるが、落ちかけているとはいえしっかり地面に引っかかっているので、楽に通過することができた。

傾いた桟道

何もない崩壊地より遥かに安心感があった

二箇所の崩壊地を過ぎて水平径路を行くとやがて城ヶ尾峠に到着。

峠のベンチで大の字になってしばらく休み、水晶橋に向かって下山する。

城ヶ尾峠から水晶橋を経て道の駅へ戻る

城ヶ尾峠からの下山中にピンチを迎える!

エアリアでは城ヶ尾峠から水晶橋へ向かうルートの甲相国境尾根直下に危険個所を示す“!”マークがあるのに、城ヶ尾峠に「信玄平方面への下り口不明瞭」その下の崩壊箇所付近に「通行注意」と表記されているだけでは注意喚起が不十分だと感じるのは私だけだろうか?まぁ、実際に行ってみて危ないと思ったら引き返し、大丈夫だと思った人は行けばいいのだろうが。

城ヶ尾峠から登山口まで約30分、国境尾根直下のロープが張ってあるトラバースを過ぎると支尾根を下ってから沢に向かい九十九折を下って標高差残り50mほどで登山口のある林道に着くというところで大きな段差を越えようと右足で踏んばり左足を伸ばしたところで右太ももが攣ってしまった。

崩壊地でザックに絡んだ残置ロープの芯を外す際、悪い足場の上で右足を踏ん張ってからずっと腿の内側に違和感が残っていたが、この段差を越えるところでダメ押ししてしまったらしい。

足を攣ったまま動けずに同じ姿勢を保っていると、ふくらはぎもピリピリしてきて攣りかねない。これ以上痛みが増さないように楽な体勢を探りながらザックを下ろし、ファーストエイドキットから芍薬甘草湯を取り出して立て続けに2服飲むと1分もしないうちに足の筋肉が緩み痛みが引いた。

この頃の運動不足と無理な姿勢を取ったことが祟ったのだろうが、下山し終える頃だったのが不幸中の幸いだった。

下山完了、至福のソフトクリーム

信玄平に向かって登っているとき、喉から手が出るほどビールが飲みたかったが車で来ているのでそうはいかないのでその代わりにコーラを飲もうと決めていたが、登山口に降り立ち足攣りの痛みを癒しながらゆっくり歩くこと約1時間、「道の駅どうし」に着きまず目に飛び込んできたのは美味しそうなソフトクリームだった。白桃ミックスソフトクリーム

我が家の冷蔵庫にある「道志七里味噌」を使い終わる前に道志の山を再訪し、今度は温泉にも寄って帰ろう。

コース情報

道の駅どうし7:20~ブナ沢8:22~ブナ沢乗越8:46~菰釣山9:20~菰釣山三角点9:26~9:33菰釣山9:42~11:50地蔵平12:05~信玄平13:25~14:03城ヶ尾峠14:15~登山口14:40~15:40道の駅どうし

MAP

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GPSデータ