釜ノ沢両門ノ滝まで(奥秩父笛吹川)
日程:6月8日~9日(1泊2日) 天候:1日目 晴れ時々曇り 2日目 曇りのち雨
人数:8名 アプローチ手段:自家用車 山行形態:沢登り
ナメ沢と苔むす原生林を擁す釜ノ沢
千丈のナメに代表されるナメ沢と流れに沿った苔むす樹林帯、そして自然に抱かれての渓中泊!という地元丹沢の沢登りではなかなか味わえない野趣に満ちた遡行が楽しめる釜ノ沢は日本三大急流の一つ富士川へと注ぐ笛吹川の源流で、詰め上げると奥秩父甲武信岳へと達することができる。
釜ノ沢へのアプローチ拠点西沢渓谷を目指し海老名から圏央道と中央高速を経て走ること2時間半弱で西沢渓谷東沢駐車場に到着した。
前回来た時は駐車場が満車で停められず、手前のトイレがある駐車場にスペースを見つけて停めたが、シャクナゲの季節にも関わらず前日までの天気予報で週末が雨となっていたせいか広い駐車場にはわずか数台の車が停まっているだけだった。
釜ノ沢遡行
1日目
春ゼミの大合唱の中西沢渓谷ハイキングコースを歩く
駐車場で沢装備を装着し、アプローチシューズをザックに入れ足元も沢靴で固めて出発。
一般車通行止めになっているが、乗用車でも走れそうなほど整備された西沢渓谷の林道を30分ほど歩いた西沢山荘を通り過ぎたあたりから山道らしくなってきて、二俣吊り橋を渡った先の鶏冠山と書かれたプレートがあるところから登山道を外れた。
踏み跡をたどり河原に降りて右岸を歩いていき、ケルンをいくつも乗せた倒木を過ぎると対岸のピンクテープが鶏冠谷出合の渡渉点を示しているので渡渉。
渡渉した先の鶏冠谷右岸は鶏冠山への径路になるので、左岸沿いに東沢を遡りテープに誘われるように登った先が釜ノ沢へ向かうルートになる。
鶏冠谷出合から山の神
釜ノ沢の遡行、沢としては登攀要素は皆無に等しく初心者向けだが、渓中泊装備を詰めたザックを背負っての行動になるので一定の体力が必要で、人によっては鶏冠沢出合から山の神までが核心になるかもしれない、、、ということを今回身にしみて感じることになった。
出合からひと登りした後はしばらくは基本水平径路を登ったり降りたりしながら徐々に高度を稼いで行き、その途中途中で下に見える素晴らしいエメラルドグリーンの淵やゴルジュが目を楽しませてくれる。
なかでも、ホラの貝ゴルジュは美しい。
私たちもホラの貝ゴルジュの入り口から奥をのぞき込み、上から見下ろしてその景観を堪能した。
が、ホラの貝ゴルジュを見下ろしてからの急登にメンバーの1人がすっかりやられてしまい、疲れて足元が覚束なくなり、そのためにバランスを取ろうと無駄に踏ん張り更に疲れるという悪循環に陥ってしまったようで、ペースを落として休み休み進んだものの急登を登り切った所で疲労困憊していた。
山の神の手前、大淵で一旦高さ3mほどの垂直な岩場を下るときに前に来た時にはこんなに下りにくかったかな?と思いながら下ったが、下ってみると下に切れたフィックスロープが落ちていて、なるほどこれじゃ下りにくいわけだと納得し、後続メンバーにはかけた補助ロープを使いゴボウで下ってもらった。
山の神から遡行開始
山行安全を祈願し山の神の前で手を合わせて通り過ぎると間もなく河原に下り、ここからゴーロ歩きを交えた遡行が始まる。
河原歩きになると急登で疲れていたメンバーも少し元気を取り戻して歩き始めたが、やはり重い荷を負ってバランスをとるのが苦手らしく、飛び石や流れが速い所の渡渉などでどうしても遅れがちになっていた。
12:00を回り乙女ノ滝に着いたところで昼食。
3年前に釜ノ沢東俣を遡行した時にもここには同じくらいの時刻に着いているが、今回より40分以上遅く出発しているのでペースは1時間程度前回よりも遅くなっていることからサブリーダーと話し合った結果、だましだまし予定していた渓中泊地に遅い時刻に着いても、沢の源頭部に向け傾斜が急になる翌日の行程をこなせるか危ぶまれてきたので、思い切って釜ノ沢入り口の辺りで渓中泊して翌日は泊地から両門ノ滝まで往復してそのまま往路を戻ることにした。
そうなるとこの先は急ぐ必要がなくなったので、メンバーに計画変更を伝え釜ノ沢入り口までのんびりと沢の景色を楽しみ、ビバーク地のロケハンを兼ねて樹林帯に足を踏み入れながらのんびりと遡行した。
当然バテてしまった当人は周りに対して恐縮していた、他のメンバーはもちろん計画通り甲武信岳に抜けたかった気持ちはあっただろうが、その一方で時間に追われずゆっくりと沢を楽しむ機会が得られたことを楽しんでもいた。
泊地到着、、、焚火を囲んで渓中泊
乙女ノ滝から2時間半ほどで右手から釜ノ沢が合流してくる釜ノ沢入り口に着くが、毎度のことながら先を歩いていたメンバーの一部が気づかずに行きすぎてしまい、ホイッスルで呼び戻した。
ここには伏流水が噴き出している水場があり、その上の段丘が渓中泊の適地になっている。
そこに荷物を置きひと登りしてすぐ上にある魚留ノ滝を見物してから下に戻り、水を汲んだ後さっそくよく均された落ち葉が積もった場所の上にブルーシートとタープを張り、その下にレジャーシートを敷いてツエルトを張ると快適な宿泊スペースになった。
ツエルトを張って荷物を整理してかまどがある広場に向かうと、すでにベテランメンバーが熾した焚火が燃え上がっていた。
冷えた体を焚火で暖めながらの夕食、アルミホイルで包んだジャガイモを焚火に放り込んで作った焼き芋を食べながら酒を飲んでの歓談は格別だった。
2日目
小雨の中撤収
枯葉が積もったふかふかのテン場は持ってきたエアマットを下に敷かず枕代わりに使ってしまったほど快適で、夜中に一度足が寒くてダウンジャケットを取り出した以外明るくなるまでぐっすりと眠れた。
目を覚ましツエルトから出ると小雨が降っていたが、霧雨程度で朝食を摂っていてもほとんど気にならないくらいだった。
ブルーシートやタープが張ってあったおかげで大して濡れていないツエルトをたたんで撤収し、泊地に荷物をデポして両門ノ滝に向かう。
私は沢用のザックでレインカバーもないので、90リットルのシュレッダーダスト用のビニール袋にザックを入れた。
千丈のナメ・両門ノ滝
魚留ノ滝を高巻く右岸のスラブは斜面の下に土砂が堆積して前回来たときよりも登り始めの位置が高くて容易に登ることができ、ロープを垂らして後続のひとにはゴボウで登ってもらった。
魚留ノ滝の上にすぐ続く曲ノ滝(ねじれのたき)は左岸に巻き道があり、ロープがあるが、流れの右を登ることもできるのでそちらから登った。
ここはちょっと急で所々コケで滑りやすくなっているので、何度も滑っては下に戻されながらも意地で完登したメンバーもいた。
千丈のナメはできれば日が差している青空の下で登りたいところだが、それでも広く浅いナメ沢をサラサラと水が流れるところをヒタヒタとあるくのは何にも代えがたい素晴らしさがある。
ただ、ナメ沢を埋める新しい土砂崩れの跡が何か所かあり、それらを見ると傾斜が緩いナメ沢がそのままの姿をいつまでも保つことは困難で、いずれ千丈のナメも土砂に分断され、埋められていく運命なのだろうかなどと思った。
記憶以上に高さを感じた両門ノ滝の前でお決まりの集合写真を撮り、下山する。
復路
泊地に戻りデポしていた荷物を背負い、だんだんと本降りになってきた雨の中を下山。
普段は登る所を下るということは、振り向かなければ見えない景色をずっと見ながら歩くことになるので、きっと新しい発見が沢山あるのではないかと思う。
残念ながら今回はあまりそういう発見がなかったが、一か所だけ登るときには気づかなかったが下りながら見ると思いがけず水のきれいさを感じたところがあった。
途中東のナメ沢と山の神手前で小休止をし、鶏冠沢出合まできて昼食を摂った後西沢渓谷駐車場へと向かう頃には雨はすっかり上がり時々日が差した。
立ち寄り温泉
花かげの湯 3時間 500円(町民以外)JAF会員証提示で5人まで100円引きでした
コース(タイム)
1日目
海老名駅 6:40 - 9:10 西沢渓谷東沢駐車場 - 9:54 鶏冠谷出合 - 10:30 ホラの貝ゴルジュ 10:35 - 12:15 乙女ノ滝 12:45 -14:35 釜ノ沢入り口(泊地)
2日目
泊地 6:05 -6:22 千丈ノナメ - 7:20 両門ノ滝 - 8:25 泊地 8:45 -9:50 東のナメ沢 10:00 - 12:43 鶏冠谷出合 13:05 - 14:00 西沢渓谷東沢駐車場