ホギリの山神(西丹沢)

日程:3月9日 日帰り 天候:晴天 メンバー:2名 アプローチ手段:電車、バス 山行形態:縦走

3年半ぶりにホギリの山神へ会いに

山北の皆瀬川流域にある八丁地区と虫沢を結ぶ古道にある防火帯、その傍らに鎮座する石仏の頭には狼の顔が乗っていて、狼頭山神などとも呼ばれているそうです。

かつて焼き畑だった防火帯の山神は、ホギリ(火切)の山神と呼ばれ、山火事防止と焼き畑に出る害獣防止の役を担っていたそうで、石仏の側面には「山火安全」と「明治廿九年九月申」という文字が彫ってあり、明治廿九年頃はまだニホンオオカミが活動していた時期でもあります。

時に人に危害を加え、そのために狼退治が行われて大野山近くにはその名残りのイヌクビリという地名が残っている一方、畑を荒らす害獣の天敵としての役目も果たしていたため頭に狼の顔を乗せた石仏が生まれたのでしょう。

神縄トンネルからスタート

谷峨から乗ったバスを丹沢湖のほとり神縄トンネルで下車すると、湖の向こうには青空を背景にした世附権現山の堂々とした山容が目に入る。

心なしか水位が低い湖面は風もなく穏やかで、釣り糸を垂れているボートが1艘浮いていた。

序盤から始まる急登に備えて着ていたダウンとソフトシェルを脱いでザックに入れ、雨蓋から出した菓子パンを一口食べながら準備を済ませ、さっき下車したバスが玄倉で折り返して再び目の前を通り過ぎるのを待って車道を渡り、神縄トンネル横の登山口から登り始める。

乾燥しているとざらざらと崩れ、濡れるとツルツルと滑りやすい序盤の緑色がかった地盤の斜面を慎重に登る。

急登がひと段落すると左手に丹沢湖を見ながら穏やかな登りがしばらく続き、最後の急登をひと登りすると登り始めてから小一時間で秦野峠分岐に到着した。

秦野峠分岐道標

表示はないが、登り詰めた秦野峠分岐の道標の向こうへ行くと日影山へと続く。

今日は私が所属している山の会で再来週行う山行のリーダーに請われ、下見のために来たので休憩場所や注意点を確認しながらの山歩きだ。

秦野峠分岐から人遠への下り口

秦野峠分岐を右に行くと大野山、道標には書いてないが左に向かうと山と高原地図で破線表記された日影山から秦野峠方面に向かうコースになる。

私たちは5分ほどザックを背負ったまま休んで大野山方面に進む。

大野山へと向かう穏やかな山道

大野山へと向かう穏やかな山道

ここからは山腹を回り込むような感じで大野山に向かい、いったん林道に出てから人遠の集落に向かって尾根を下るのでほとんど登りのないなだらかな道が続く。

人遠集落へ尾根を下る

林道を大野山に向かって伸びる林道が大きく右にカーブするところから左に逸れて人遠に向かう尾根に入るが、下り口にそれを示すらしいテープが巻いてある。

林道から人遠に下る尾根の入り口の木にテープが巻いてあった。

林道から人遠に下る尾根の入り口の木にテープが巻いてあった。

林道から外れてしばらくは急傾斜を下るがすぐに傾斜が緩み、右手が開けると大野山が目の前に見える明るい広場に出る。

大野山側の傾斜地は日当たりが良くミツマタの花が咲き始めていた。

ミツマタ越しに大野山を望む。

ミツマタ越しに大野山を望む。

尾根の下方向には梅の木が満開の花を咲かせていたが、驚いたことにそのその梅の木は根こそぎ倒れていて根っこがほぼ完全に地面から浮いていた。

倒れて根元が露わになりながら咲き誇る梅。

倒れて根元が露わになりながら咲き誇る梅。

尾根を下り続けていくと、行く手を塞ぐように藪が待ち構えている。初めてこの尾根を下ったときには藪に突入して強行突破したが、前回来た時に左手に径路があることを知ったのでそちらに向かう。

左に迂回して藪を過ぎるとあまり手入れがされていない小さな茶畑の上に出て、やがて舗装された道が現れる。

人遠の集落に入ると、私たちが藪の上をウロウロしていた時からその気配を感じて吠えたてていた十頭以上の猟犬が民家の前に並んでいる檻の中を飛び跳ねながら一斉に吠え始めて歓待(!)してくれた。

急坂を下る途中にある御堂のひだまりではたくさんの猫がひなたぼっこしながら、先ほどの犬達とは対照的に冷静な表情で通り過ぎる私たちを見送った。お堂の猫たち

お堂の横の急坂を下って山北から来た道と合流し、人遠橋を渡った先にある高松山方面へと登るコンクリート製の階段を見ると相変わらず荒れていて、会山行当日は参加者が驚くんじゃないかと思った。

人遠集落の地名板

地名を聞いただけで山奥の集落という趣きがある。

人遠から尾根に入る荒れた階段。

人遠から尾根に入る荒れた階段。

尾根を外れホギリの山神へショートカット

アスファルトの上にザックを降ろして一休みし、軽食を摂ってから荒れたコンクリートの階段を登り山道に入り広い尾根をジグザグに歩いていると、枝打ちされて地面に散乱している枝が足に絡まって歩きづらく、そのせいか傾斜の割に足への負担がかかる。

地面が枝で覆われ踏み跡が定かでない径路を、足を置きやすいところを選びながら登っていると途中からはっきりとした作業道が現れるが、やがて尾根の右側を巻くように中心から逸れ始める。

前回来た時は、作業道を右手にやり過ごして尾根の中心に向かって登り返したがこの作業道が向かう先が気になっていたので、今回はそのまま尾根を巻く作業道を歩いてみることにした。

尾根の中心から外れ右側に巻いていく作業道。

尾根の中心から外れ右側に巻いていく作業道。

目指すホギリの山神は、この尾根を登り切って平坦になった標高620mあたりから真南の急傾斜を下ったところにある。国土地理院の地形図には高松山の方から伸びてくる道が620mを通りホギリの山神の辺りまで書かれていてその先で消えてしまっているが、おそらく作業道はその道に向かっているに違いないと思った。

尾根をトラバースする作業道が支尾根を巻いた辺りで踏み跡が薄くなってきて、やがて消えてしまった。この斜面の標高500m付近にあるはずのホギリの山神は尾根の上から下まで木が刈られた防火帯に面して鎮座しているので、できるだけ500mを保ちながら尾根をトラバースし続けるとやがて樹木が刈られた明るい防火帯に出た。

防火帯はスキー場のゲレンデのような急斜面だ。

防火帯はスキー場のゲレンデのような急斜面だ。

高度に気をつけていながら知らず知らずのうちに楽な方へ進んでしまっていたらしく、防火帯を30mほど登り返したところに、ホギリの山神の姿があった。

ホギリの山神

ホギリの山神

ホギリの山神はの頭に乗っているのは狼の頭だそうで、馬頭観音に対して狼頭山神などとも言われているらしい。

頭に狼を乗せている山神

頭に狼を乗せている山神

これまでのように尾根の中心をたどって620mまで行って、そこから下ってきて再び登り返すよりも、今回のようにトラバースしてダイレクトに来た方が正解だったかもしれない。

ホギリの山神との再会を果たしたのち、防火帯の急斜面を620mまで登って昼食にした。

防火帯の急斜面は登り応え十分。

防火帯の急斜面は登り応え十分。

花じょろ道から高松山

高松山へ向かう道はこれまでのように尾根を外さずに登り詰めるだけでなく、平らな広い尾根からピーク伝いにいくつかのコルを越えていくが、木の枝や葉が地面を覆っているところが多いので下る尾根を間違えないようにセットしたコンパスを確認しながら進む。

時々傾斜が急になるが概ね穏やかな登り下りを繰り返したのち到着した富士見台には、花じょろ道の道標があり、その名の通り富士山を望むことができた。

花じょろ道の道標がある富士見台

花じょろ道の道標がある富士見台

富士見台からは富士山が見えた

富士見台からは富士山が見えた

富士見台から高松山へは直登せず、いったん尾根を巻いてヒネゴ沢乗越を経由してから上り返した。

チェンソーアートの楽し気な道標ヒネゴ沢乗越にはチェンソーアートの楽し気な道標がある。

ヒネゴ沢乗越から上り返して間もなく着いた高松山の山頂は広くて景色が良く、暖かい日差しを浴びて何組かのハイカーがベンチで休憩していた。

高松山山頂からのパノラマ写真

高松山山頂からのパノラマ写真

ビリ堂を経由して下山

高松山からの下山ルートは整備されて歩きやすい尺里(ひさり)からとは対照的に、ビリ堂経由のルートは下りは序盤がとても荒れているので足元に気を遣った。

ビリ堂には、馬頭観音ともう一体の頭には狼頭らしい頭を乗せた二体の石仏があった。

ビリ堂の石仏

ビリ堂の石仏

左側の石仏の頭に乗っているのは狼頭?

左側の石仏の頭に乗っているのは狼頭?

ビリ堂を過ぎ山道を下るとやがて林道にぶつかりその林道を横切って山道に入るった、と思ったら今まで右手にカーブしていた道が行き止まりになって、新しくできた左へ向かう道に「新東名高速道路を作っています」という看板が立っていてその向こうに、足場材で組んだ展望台が作られていた。

新東名高速道路工事見返り?の展望台

新東名高速道路工事見返り?の展望台

展望台から先は公園の中の遊歩道のような整備された道が続き、やがてミカン畑の間をゆくコンクリートの農道へ合流して山北市街へと入っていった。

 

コース情報

神縄トンネル 8:11 - 9:05 秦野峠分岐 - 10:50 人遠橋 - 11:55 ホギリの山神  - 13:30 富士見台 -13:55 高松山 14:05 -14:25 ビリ堂 - 16:00 山北駅

マップ

GPSデータ