睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療を始めて1ヶ月
中高年のSASは治療しても完治しない?
SASが発症する原因により治療法が分かれ、扁桃肥大など喉に呼吸を妨げるものがあって切除可能であれば外科手術でそれを取り除き、肥満が原因で贅肉が気道を塞いでいるのであればダイエットで贅肉を減らすという方法をとり、いずれの場合もSASの原因を除去するので治療が功を奏せばSASが完治することになる。
ところが私を含め多くの中高年が患うSASは、老化によって筋力を失った舌の筋肉が仰向けに寝た際に喉に下がって気道を塞ぐことから発生するためSASそのものの完治は望めないらしい。
かといって治らないからと放っておくと、睡眠時に起こる数十回の無呼吸状態により心疾患や脳卒中などによる突然死のリスクが高まり、重度のSASを放置すると10年以内に4割もの人がそういった病や居眠り運転などで亡くなるというデータがアメリカで発表されているという。なので、老化によるSASを患ってしまった場合は、根本治療は望めないが睡眠時の無呼吸・低呼吸を防ぎ、合併症にかかったり昼間眠気に襲われたりしないように対症療法を続けることが必要になるという。(老化で弱った舌の筋肉に筋トレができないかいずれ試してみたいと思う)
いよいよ治療開始
入院検査の結果をクリニックで聞き保険適用になることを知らされフィリップのCPAPでの治療を選んだ翌週、クリニックの診察室でフィリップの担当者から装着するマスクのフィッティングとCPAPの取り扱い説明を受けた。
CPAPとご対面
ビジネスフォンを立方体にしたほどの大きさで、重さも電話機より少し軽いくらいのCPAPは、背面から掃除機のホースを細くしたような蛇腹のホースが出ていて、その先にマスクがついていた。
当初CPAPのマスクは口と鼻を覆う戦闘機パイロットのような形をを想像していたが、鼻だけをすっぽり覆うものと鼻の先に装着するものがあって私が選んだ鼻の先に装着するタイプは頭のてっぺんにあたる部分に本体と繋がるホースを差し込むジョイントがついた楕円形のチューブで、カチューシャをつけるような要領でマスクを頭に装着し、両側から後頭部へ回るバンドを締めると、両側のホースの先端の扁平な部分に開いた穴がちょうど鼻にフィットするようになっている。装着後鼻で呼吸をするとその負圧を感知するのか、本体が作動して鼻から空気を吹き込むようになっているらしいが、こんなものをつけて眠れるのかというのが第一印象だった。
今後は毎晩この装置をつけて眠り、1ヶ月に1度クリニックに行って診察を受けて状況を報告する。完治しないのにクリニックに通うのも面倒くさいが保険治療を受けるためには、定期的な通院をしないといけないらしい。
このCPAPにはネットワーク機能が備わっていて、最初の診察時には装着されているSDカードを抜いて担当医に持っていかないといけないが、それ以降は内蔵されているキャリア端末を介しクリニックにデータが送られるようになっているという。また、専用アプリをインストールしたスマホとBluetoothで接続して、治療データをスマホで確認できるという患者が退屈せずに治療を続けるような仕組みも備わっているとのことで、私もその手にまんまと乗ってさっそくアプリをインストールしてしまった。
CPAPの使い心地は?
携帯用のケースに入ったCPAPを持ち帰り、その夜からさっそく使用した。自動で起動するCPAPの本体電源は入れっぱなしにしておきマスクを装着すると、呼気を感知して鼻から空気が送り込まれる。鼻に当たる部分の形と柔らかさが絶妙で接触している面から漏れることなく送り込まれた空気が喉の奥に当たる感覚が妙だな、、、と思っているうちに眠りに落ちた。
夜中に煩さと直に送り込まれる空気が当たって乾いた喉の痛みで目が覚める、CPAPは呼吸の様子に合わせて送り込む空気の圧力が変化するのだがあまりにも強く当たるので、喉があまり強くない私は喉風邪を引いてしまうのではないかと不安になったが、そのうちまた眠りに落ちて気がついたら目覚ましアラームが鳴っていた。
CPAPの効果は?
CPAPを使う前は、どの位で効果が出るのか疑問だった。
医師からの説明では使い始めても効果を実感できなくて止めてしまう人が一定数いて、最初の3ヶ月の壁を越えられるかどうかが分かれ目になる。という禁煙と共通するような話を聞いた。
いずれにしても効果が実感できなければ、確率が4割もあるとはいえ遠い将来あるかも知れない突然死リスクを下げるために、毎晩変てこな装置をつけて寝るのは嫌になるだろうということは想像に難くない。まして、毎月診察を受けてそれ相応の費用がかかるとなれば尚更だ。
で、CPAPを使ってその効果があるのか、いつから効果を感じられたかなのだが、意外にも初めて使用した直後に明確な効果を感じることができた。
CPAP使用直後から現れた効果とは、、、
CPAPの使用で実感した効果その1・・・目覚めすっきり
元々寝起きが良い方だったが、いつからか朝起きてからボーっとするようになっていた。それがなくなり、すっきりと目を覚ませた。
CPAPの使用で実感した効果その2・・・眠気の塊がなくなった
起きてからもいつも目の裏側や頭の片隅にまるで軽い頭痛のように感じられる眠気の塊のようなものがあったのが、なくなった。
CPAPの使用で実感した効果その3・・・あくびが出なくなった
夕方になると朝から蓄積された眠気のせいか、帰宅して玄関のチャイムを鳴らすと扉が開くまでのわずかな間に2~3回あくびが出たが、それがなくなった。
さて、CPAPを使い続けられるだろうか?
実際に使ってみて、思った以上の効果を感じたCPAPだが、この治療は対症療法であって根本的な治療でないことは前述の通り、となると未来永劫使い続けなければならない。
そこで気になるのが使い続けることができるかどうか、快適さと費用については下記の通り。
CPAPの使用はどのくらい不快か?
人によりさまざまだと思うが、私の場合は一晩使っただけで顕著な効果があったが使い続けるにはいくつか不安を感じた。
不安その1・・・眠りから覚めるほどの喉に当たる風。
まず、喉に当たる風だがやはり喉の乾燥を気にする人が多いようで、CPAPには水タンクがついていて加湿機能があるものも出ているようで取扱説明書を読み返してその機能の使い方を調べてみたが、あいにく私が使用している機種にはの機能がなく、このまま使うしかないようだ。
仕方がないので2日目もマスクを装着して空気が送り込まれるのを恐る恐る待ち受けたが、2日目にしてすでに装着感に慣れたのか、送られてくる空気を口の方に回らないように素直に受けると喉に当たることなく呼吸ができるようになり、心配していた喉の奥が乾燥する感覚も感じずに済み、この問題は早くもクリアした。
不安その2・・・装着の違和感
頭の周りにチューブをつけ寝返りもしにくいことから感じる違和感がどれだけ不快感につながるのかと思ったが、元々寝相が極めてよい私の場合寝返りもしないのでいまのところあまり問題になっていない。
しいて言えば、マスクのチューブで髪の毛が抑えられるので寝癖がひどくなるかもしれない。私の場合は朝ランニングしているため、必ずと言っていいほど朝シャンするから問題は感じないが。
不安その3・・・作動音
本体そのものはほとんど作動音を発しないが、マスクと鼻の間から空気が漏れると風切り音がする。また、寝ている間に口を開けると喉の奥から口に向かって風が漏れ、ダースベイダーのような呼吸音を発する。たぶん慣れれば大したことがないと思うが、今のところ家族とは別の部屋で1人で寝ることにしている。
と、まぁ今のところ大した問題は発生していないのでしばらくは続けられそうだ。
気になるCPAP治療費用は?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いを持ち簡易検査を受け、比較的重度のSASであることは判ったが保険治療の要件を満たせず、保険治療を受けるために入院検査を受けたところまでで約35,000円かかった。
入院検査の結果保険治療が適用になって毎晩CPAPを装着して眠り、毎月1度通院して診察を受けることになると1回の通院ごとに5,000円前後かかり、その中にCPAPのレンタル料も含まれるので1年間にかかる費用はおよそ60,000円になる。(被保険者3割負担の場合)
決して安い費用ではないが、重度のSASは放置しておくとそう遠くない将来心疾患や脳卒中などの突然死に至るリスクが高くなるだけでなく、自動車や機械操作中に激しい眠気に襲われ気を失うように眠りに落ちるなど自分だけでなく他人の命をも奪いかねない疾患である以上、SASの可能性を感じたら迷わず検査を受けるべきじゃないかと思う。
診察日がちょっと楽しみ
治療を始めて最初の診察日が迫っている、使い始めてすぐ効果を実感できているので診察を受けるのがちょっと楽しみだ。