荒天で北穂高岳滝谷ドームから転進、小川山でクライミング三昧

日程:2018年8月25日-27日 2泊3日 天気:晴天 人数:5名 交通手段:自家用車

滝谷ドーム、またしても天候に祟られる!

夜明けの雨

 昨年の滝谷ドーム登攀は、アタック予定日の朝北穂山荘の布団の中屋根にたたきつける雨の音で目を覚まし、後ろ髪を引かれる思いで北穂南稜を下った。

 そして今年は北穂どころか上高地、いや釜トンネルさえくぐらず、沢渡(さわんど)のライダーハウスで屋根をたたく豪雨の音と雷鳴で目覚め、ヤマテンとtenki.jpを開けてさんざん検討した結果、天候回復の見込みなしと判断し撤退決定となった。 

転進先は?

 昨年は初日に上高地から涸沢を経て一気に北穂岳山頂を踏み、翌朝北穂山荘で目覚めての撤退だったので、雨中の滝谷登攀は論外としても穂高岳山荘まで進み1泊して奥穂高岳経由で重太郎新道を下るかこのまま涸沢に下るかという下山ルートの選択だったが、今年はまだ山に入ってすらいないのでどこか他に天気が良さそうな所があったらそっちへ行こうという転進先の選択になった。

 雨雲レーダーを見ると土砂降りの雨を降らせている雨雲の塊は北アルプスの上に沿って居座っているが他の山域は概ね好天に恵まれているようなので、残りの日程をフルに使い泊りでクライミングを楽しめそうな小川山に転進することに決定した。

小川山にGO!

転進ついでに松本プチ観光

 転進先が小川山と決まったものの、滝谷ドームに登るつもりで来ているのでもちろん小川山のトポを持っている人は誰もいない。家に置いてるのにわざわざ今回のために本を買うのは躊躇されるが、長野県と言えば名だたる教育県、1度松本にある図書館に行ってみたいと思っていたので丁度いい機会とばかりトポ確認ついでに松本市中央図書館を訪れた。

 宿泊地沢渡から図書館までの移動所要時間は約1時間、図書館に着いたのが開館時刻1時間前の8時30分だったのでしばらく周囲を散策して時間をつぶす。図書館のすぐ前にある重要文化財開智学校校舎はまだ閉まっていたが、隣にある司祭館は開場時刻前にもかかわらず扉が開けられていて中を自由に見学することができた。

旧開智学校

松本中央図書館前にある重要文化財開智学校校舎

司祭館

公開時刻前から見学ができた司祭館

 肝心の図書館だが、横浜の中央図書館の経験からアウトドアスポーツコーナーに行ってもほとんど山関係の資料が無く、係員に尋ね書庫からトポ集を出してもらってから館内をぶらぶらしていたら、階段近くの一角を占める広い山岳文庫コーナーを発見。さすが山岳県長野、そこには探していたトポ集をはじめおびただしい量の山関係の図書が並んでいて私たち一同時を忘れてしばし見入ってしまいしばらくはその場から離れることができずにいた。トポ図の必要な箇所の確認が済み小川山へ向かうときには後ろ髪を引かれる思いだった。

松本市中央図書館

さすが山岳県の中央図書館は山岳関係の資料が充実していた

小川山でクライミング三昧

初日(8月25日)

 小屋泊り予定だった私たちはテントの用意が無く1泊6千円(1棟)のバンガローを希望したが、あいにく1泊目は空いていず初日は金峰山荘に宿泊。チェックイン時刻前に到着したので車に荷物を置いたまま山荘のデッキで昼食を摂り、装備を携えて岩場に向かった。

ガマスラブ

 小川山はクラックを利用して登るコースが豊富だが、滝谷に向かう予定だった私たちはナチュラルプロテクションの用意が無いので、クラックを使わないで登れるルートの代表ガマスラブに向かう。

 当日は都岳連の講習が行われていて、初級者向きのガマスラブにはすでに大勢が取りついていたが、その隙間を見つけてAさんが張ってくれたトップロープを登る。

 午後から始めたので、同じ場所で何通りかルートを変えて軽く登り初日は終了。傾斜が緩いとはいえホールドが細かいので見た目以上にスラブは厳しく感じる。

 この日の最大の収穫は、林道からガマスラへ上がって行く場所を覚えられた事だ。^^

ガマスラブ目印のケルン

林道からガマスラブに登る目印のケルン

金峰山荘泊

 金峰山荘の部屋は思っていたよりずっときれいで、窓からは対岸の岩場が真正面に見える最高のロケーション、これで1泊2食付6,800円なら充分納得できる。

対岸の岩場

金峰山荘の窓からは正面に父母兄弟の岩が見える(左端の上に突き出ているのがサイコロ岩)

 チェックインして風呂に入り、地元川上村名産レタスのサラダお代わり自由の夕食を済ませて部屋に戻ると、持ち寄った酒とつまみをやりながら翌日の打合せをして早めに床に就いた。

2日目(8月26日)
ガマルート

 2日目は先ず昨日のガマスラブの端を少し上がった所からマルチピッチで去年の秋に登ったのと同じガマルートを登ろうと取り付きに向かう。

 ガマルート取り付きに到着すると昨日ガマスラブを登っていた人達がすでに登り始めていたが、中には外岩を登るのが初めてなのかスラブの途中で両足が止まりまんじりとしない人もいて後ろに並んで待っていてはいつスタートできるかわからないので、取り付き点をずらし別パーティーのじゃまにならない隣のルートから追い抜くことにした。

 私はYさんTさんとの3人パーティー、1P目はTさん2P目をYさんコンテの3P目と4P目を私、そして5P目がTさんで6P目をYさんががリードで登ることにしてスタート。フォローで登るときによくこんな所リードで登れたなぁと思いながらついていくことがよくあるが、4P目の終盤で横風が強くなりハング気味のところをアンダーを取って乗っ越す手前で手も足も乏しくなり、まさかここは直上じゃなくて左から回り込むんだよね?と思い振り返って左を指差すとまっすぐに登れと下から合図され意を決して直上したが、乗っ越した先にガバがあったとはいえなかなか登り応えがあった。

4P目の核心

4P目の終盤で横風が強いなか手足の乏しいスラブを登る

 ガマルート終了点からの素晴らしい眺めを満喫し、約50m懸垂して取り付きに戻り昼食にした。

ガマルート終了点付近から周囲を見渡す

ガマルート終了点付近からは奇岩が見渡せる

ガマルート終了点からの50m懸垂下降

ガマルート終了点から50mを一気に懸垂下降

マラ岩

 昼食後は場所を変え、川の向こうのマラ岩に向かう。

 堰堤の際を渡渉して径路を辿り、左稜線へのルートを右に分けしばらく斜面を登って行った先にあるマラ岩は人気ルートで大勢の人が取りついていた。さてどうしようかと川上小唄を登る人を見上げていると2人組のパーティーが後ろから登って来たので道を空けようとすると、Tさんが彼らに声をかけ挨拶を交わし始めた。その方はTさんのジム仲間でマラ岩周辺の岩を全て登っていてこの辺りに非常に詳しく、空いている岩(しかも私達が手に負えるレベルの岩)に案内してくれるというので、ありがたくお願いした。

 マラ岩から10分ほど登った姉岩に案内していただき、YさんAさんにトップロープを張ってもらい牛脂ライス、た・タんか、うさぎと踊る女の3本を順番に登った。

 た・タんかはどうしても核心を越えられず1度は断念したが、後から登るUさんがAさんのアドバイスを受けながらスムーズに完登したのを見てリトライし、Aさんの言った通りに体を使うとさっき登れなかったのが嘘のようにあっさりと登れた。

 Tさんの友人のおかげで朝から15:00過ぎまで空いている姉岩を十分堪能し、その後最寄のスーパーナナーズへ夕食の買い出しに行った。

 スーパーで食料と飲み物を調達し、野菜たっぷりの豚しゃぶを囲み、クライミングの話に花を咲かせ宴をして床に就いたが、前夜より固い寝心地に何度か目が覚めた。

 2泊目を過ごす廻り目平キャンプ場内にあるバンガローは1泊6,000円/棟と格安だが、ここにキャンプに来る人はテント泊を楽しむ人が多く需要が少ないせいか2棟しかない。

バンガロー

廻り目平キャンプ場のバンガロー

3日目(8月27日)
再び渡渉をして対岸へ
 最終日は金峰山荘の真正面に見えた小川山物語(ストーリー)を目指し渡渉して父岩に向かう。この渡渉は前日の堰堤沿いの浅い所を歩くのとは違い飛び石伝いの渡渉だが、落ちるのが嫌だし気温が高いので靴を脱いで浅い所を歩いて渡った。渡渉
小川山物語(ストーリー)

 小川山物語は渡渉してからのアプローチが短い割に上から見下ろす眺めが良いこともありとても人気があるルートで、私達が金峰山荘に投宿したときに窓から見ると結構遅い時間までクライマーの姿があったが、今日は平日のせいか後から誰も来ることなく静かな中でゆっくりクライミングを楽しむことができた。

 小川山物語のすぐ隣のコースが小川山ストリート、ストーリーとストリートなのでややこしいが、ストーリーの方が5m位ルートが短い。短いと言ってもどちらも25m以上あるので50mダブルを2本つなげてトップロープにした。

 私にとってはストリートよりストーリーの方が少し難しく感じたうえ、距離が長いので途中で見上げるとまだまだ先がある、そんなこともあり「物語が長すぎる、もっと手短かに」というどーしょうもない言葉が思わず頭に浮かんだ。しかし、ルートが長いだけあって終了点から見下ろす景色は最高!機会があったら何度でも登りたいと思うルートだ。

金峰山荘を見下ろし小川山物語を登る

金峰山荘を見下ろし小川山物語を登る

小川山物語と小川山ストリートを登り、下段にあるタジアンⅡで遊び12:00頃撤収して帰途に就いた。

小川山へ転進して

まさかの2年連続滝谷ドーム撤退!

 去年は北穂山荘で撤退したが今回は北アルプスに足を踏み入れることさえなく撤退。

 正直言って年にほんの数回しかアルプスを歩く機会がない自分としてはせめて釜トンネルは抜けたいという思いはあったが、この先予定通り好天に恵まれアルプスを歩くことはあっても、廻り目平で2泊3日過ごしクライミング三昧の日々を過ごすことはそうそうないんじゃないかと思うので、今回の転進で過ごした3日間は貴重な経験だった。

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